第27章 巨人になれる少年
審議が終わり、私達は控え室へと戻ってきた。
結論として、エレンの身柄は調査兵団に預けられることになった。次の壁外調査でその有用性を証明することが条件だが。
団長が今、エレンを引き取りに行っている。
控え室にいるのはハンジ分隊長、ミケ分隊長、リヴァイ兵長、そして私だ。
私はチラリと兵長の表情を伺う。
壁にもたれるようにして立つ兵長は、目を閉じて下を向いていた。先ほどの激しい折檻など無かったかのように、普段通りの静かな佇まいだ。
審議所でのエレンの扱いについては、「同情する」の一言に尽きるだろう。
当初は獣のように吠えていたエレンだったけれど、リヴァイ兵長による強烈な蹴りから始まった情け容赦のない折檻を受けた後は、気を失ったようにダラリと頭を垂れていたのだから。
そう感じていたのは私だけではなかったようで、ハンジ分隊長が眉を下げて文句を言っていた。
「いくらなんでもやりすぎでしょリヴァイ。これから彼は君の管理下に置かれるんだから、もう少し優しくしてあげなよ。じゃないと、嫌われちゃうからね」
「…ちゃんと手加減はしてある」
そう言って兵長は、ぷい、と顔を背けた。