第27章 巨人になれる少年
審議室に着くと、そこにはすでにたくさんの傍聴者が集まっていた。憲兵団はもちろんのこと、調査兵団の面々や駐屯兵団の兵士の姿もあった。
エレンを引き渡して、私は傍聴席に立つエルヴィン団長達のもとへと向かった。歩きながら会場内を見渡してみると、見覚えのある顔に目が留まる。
「あの子達は…」
金髪の小柄な兵士と、黒髪で背の高い兵士。
あの二人は確か、奪還作戦の時エレンと一緒にいた子達だ。
彼が気を失った後もずっと離れずに付き添っていて、ただの同期とは思えないほどに献身的だったのをよく覚えている。
金髪の子の方は比較的落ち着いているように見えるけど、黒髪の子の方はエレンを見てソワソワと落ち着かない様子だ。
向こうが私の顔を覚えているか分からないけど、何となく心配になってしまって、声をかけようかと思った。
だけどよく見たら二人の隣にはリコ班長の姿があって、二人に声をかけているみたいだった。
リコ班長がいるのなら大丈夫だろうと、私は一度止めた足を再度踏み出して、リヴァイ兵長の隣へと歩いていった。
「始まるぞ」
兵長が声をかけてくれて、いつの間にかザックレー総統が席についている事に気がついた。
総統が木槌を打ち鳴らし、特別兵法会議が開廷したのだった。