第27章 巨人になれる少年
もしも、巨人になれるという少年、エレン・イェーガーにも人間を捕食するという性質があるのだとしたら…私は彼を…。
父を食いちぎった巨人の姿が脳裏に浮かぶ。
あの巨人と同じ性質を持っているかもしれない彼のことを、私は受け入れられるのだろうか。
人間の姿をしていたとしても、彼にどう接していけばよいのか全く分からない。そもそも…彼を「人」として見ることができるのだろうか。
そんな事を考えている内に、私達は階段を下り終えた。
ロウソクの灯りで照らされた薄暗い檻の奥に目を凝らしてみると、ベッドの上からこちらを見つめている少年の姿があった。
「君がエレンだね?」
ガッシャン、とほとんど檻にぶつかるような勢いで近寄っていったハンジ分隊長に、彼は怯えたようにビクリと肩を揺らした。
分隊長の目は血走っていて、エレンでなくても怖いと感じるだろう。
瞬きもせずに私達の姿を鉄格子越しに見つめている彼の大きな瞳は、ロウソクのオレンジ色の灯りに照らされているせいか黄金色に輝いて見えた。
とても綺麗だと思った。
だけどそれは…人間のそれというより、まるで猛獣の瞳のように感じたのだった。