第27章 巨人になれる少年
エルヴィン団長とリヴァイ兵長を残して部屋を出た私達は、エレンが拘束されているという地下牢へと向かった。
階段を下りながら、ハンジ分隊長は興奮を抑えきれないといった様子でブツブツと何やら呟いている。
そんな分隊長の後に続いて階段を下りながら私は、彼は一体何者なのだろうかと考えていた。
巨人に変身するなんて、本当に出来ることなのだろうか。
もちろん、分からないから今のこの混乱状態な訳だし、それをこれから解き明かしていくのが自分たちの目的であるので、今自分ごときがゴチャゴチャと考えたところで答えが出ないことなど分かりきっている。
だけど、どうしてもある考えが頭を離れないのだ。
(彼は…人間を食ったのだろうか)
私は今までに、数え切れない程の巨人の絵を描いてきた。その巨人達は全て自分の目で見たものであり、一体として想像で描いたことはない。
どの絵の巨人も、人間を食っている。
奴らは消化器官を持たないくせに、何故か人間を食らう。馬や鳥などの動物には一切の興味を示さずに、一目散に人間にだけ向かってくる。
その行為が巨人の本能によるものだったとしても、どうしても納得がいかない。
人間だって生きるために動物を食うが、あれほどまでに脇目も振らずに向かって行くことなんて、ほとんどの場合ないだろう。
彼らのあの異常なまでの人間への執着には、捕食以外の目的を感じて仕方がない。
だけど、じゃあどんな目的があるのかと問われると全く答えは見つからないのだが。