第4章 ハンジ分隊長
そんなことをしていたら、いつの間にか座学ではかなりの上位になっていた。
もともとは対人格闘術の向上のために始めたことが、巡り巡って座学の成績を押し上げることにつながるとは。
でも、それで分かった。
絶望的に苦手なものであっても、対策をきっちりと練ればある程度のレベルまでは上達できるものなのだと。
そして、私は身体能力的には劣るが、頭を使うことは得意だということが分かったのだった。
それに、立体機動術や馬術もどちらかと言えば得意な方だった。
立体機動術では、この小柄な身体が役に立って、小回りの利く機動で高評価を得た。
それに体重が軽いせいで消費するガス量も少なくて済み、その点でも実践で有利になるだろうと言われた。
また、馬術は馬との相性が大切なので、まず馬と仲良くならなればいけない。だけど私はもともと動物が好きだったし、馬の世話も厩舎の掃除も苦には感じなかった。
鼻が悪い訳ではないのだが、昔から家畜のニオイというものが分からなくて、同期たちが「馬小屋くせーっ」と言っているのを聞きながら、(臭いのかぁ…分からないとか言ったら、ますます敬遠されるから黙っておこう…)などとこっそりと冷や汗を流していたのだった。
もしかしたらニオイを感じていないのではなくて、「臭い」と認識していないだけだったのかもしれない。
とにかくそんな訳で、苦手科目で落とした成績は得意分野でカバーして、私は何とか訓練兵団を卒業することができたのだった。