第26章 兵長のおまじない
「ラウラさん、お疲れ様です」
実験が一つ終わって一息ついていた私のもとにやってきたのは、同期のヘルゲとミアだった。
「あれ!二人共こんなところまでどうしたの?何か用事かな?」
「物資を届けに来たので、どうせならラウラさんに会っていこうと思ったんです」
私とたいして身長の変わらないミアが、ニコニコと笑う。彼女は小柄で目がクリッとしているので、まるで小動物のような可愛らしさがあった。
「お忙しかったでしょうか?」
「ううん!休憩に入ったところだったから、ちょうど良かったよ」
そう返事をしてやれば、ミアとともにヘルゲも安心したように顔をほころばせた。
背の高いヘルゲは、同年代の子に比べたら随分と大人びて見えるが、こうやって笑顔を浮かべるとまだまだ年相応の17歳の少年だ。
彼らは私の訓練兵時代の同期であり、共に調査兵団に入団した数少ない仲間でもある。