第26章 兵長のおまじない
結局巨人捕獲班は、二匹の巨人の捕獲に成功した。
私が目を奪われてしまった7m級の奇行種と、4m級の通常種だ。
7m級の方は、奇行種ということを差し引いても、もともとが活発なタイプらしく、かなり動きの激しい個体だった。
一方の4m級の通常種は、こちらはまた極端に大人しいタイプの個体で、まさに静と動といった感じだ。
私はと言えば…通常種の捕獲には参加させてもらえたものの、奇行種の捕獲の際には待機するように命令されてしまったのだった。
…まぁ、当然の判断だと思う。だって、かなり離れた距離にいてもじーっと食い入るように見てしまうのに、あんなに活きのいい奇行種の近くに行ったら、それこそ捕獲そっちのけで絵を描き始めてしまうかもしれないからだ。
自分でもその衝動を抑えられるか分からないところが恐ろしい…。
捕獲した巨人2体は杭でしっかりと地面に固定されて、彼らを中心にするようにして巨人研究所が臨時で設営された。
トロスト区内の巨人はこの2体以外はすべて討伐されたが、街はめちゃくちゃに破壊されており、避難した住民が戻ってくるまでにはまだまだ時間がかかりそうだった。
そのおかげと言っては何だが、だから街中であるにも関わらず巨人の生体実験ができるのだ。