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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第1章  入団式


 調査兵団に入ろうと思う人なんて、ごくごく僅かだ。ましてや、シガンシナ区の襲撃を経験した者ならなおさらだろう。
 だって調査兵団に入ったら、近い将来必ず巨人に食われて死ぬ。それが分かりきっているのに、それでも自分の命を賭してまで人類の役に立とうと覚悟できる人は、そんなに多くないだろう。

 誰だって巨人は怖い。だから、憲兵団を選ぶ権利を得られなかった人達が駐屯兵団を選ぶのは当たり前のこと。
 だけど私は……。

「次っ!」

 いつの間にか隣の子の自己紹介が終わっていて、ネスさんに声をかけられた私は慌てて敬礼をした。

「ラウラ・ローザモンドですっ!自分はっ、……巨人の絵を描くためにここに来ましたっ」

 そう言い放った途端、ザワッと兵士たちの間にどよめきが広がった。
 首をかしげたり、顔を見合わせたりする兵士達の姿が見えて、ツウッと背中を汗が流れ落ちるのを感じた。

(やっぱり……変だよね。だってみんなが命をかけて戦うと言っている中で、絵を描きたいだなんて…)

 新兵の入団式の様子を見ようと講堂に集まってくれた先輩兵士達は、様々な表情をしていた。
 キョトンとした顔をしてこちらを見つめている人もいるし、眉を寄せて首をかしげている人もいる。ニヤニヤと笑っている人もいた。
 左右に目を向けて同期たちの反応も見てみたけれど、同じ南方訓練兵団出身の子はうっすらと笑いを浮かべているし、それ以外の同期たちは、概ね先輩方と同じような反応を示していた。

「次っ!」

 ザワつく空気を一喝するようにして、ネスさんが次の子の自己紹介を促した。それを聞いた途端、さっきの私みたいに、隣の子も慌てて自己紹介を始めた。

 まだ自分がジロジロと見られている気配を感じて、とても居心地が悪いし、いたたまれない気分だ…。早くこの時間が終わって欲しいと心の底から願った。

 だけど…、この空気は本当に嫌なんだけど、私は自分の言ったことに後悔はしていない。「何がしたいのか?」と問われたら、私にはあの答えしかない。
 奇異の目で見られることを恐れて、その場の雰囲気を取り繕うために別の事を言うのは、自分の信念に反することだ。そんなこと絶対にしたくない。
 だから私は、例え変な目で見られてもいいから、自分の本当の気持ちを言う。
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