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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第26章  兵長のおまじない


 あらかたの雑務を終えた私は、皆のいる場所から少し離れた壁のフチに腰かけて、めちゃくちゃになった街を見下ろしていた。

 今夜はとても晴れているから、月明かりに照らされて街の様子がよく見える。

 あちらこちらに巨人の姿があり、皆一様にスイッチが切れたように静止していた。街中に点在する巨大な人型の物体は、まるで様々なポーズを取る石膏像のようでとても異様に見えた。


「よう」


 声をかけられて顔を上げると、すぐ横にリヴァイ兵長が立っていた。

 兵長はそのまま私の隣に腰を下ろして、私と同じように、壁のフチからブランと足を投げ出した。


「メシは食ったのか?」

「はい。兵長は召し上がられましたか?」

「俺は今から食う」


 そう言って兵長は懐から野戦糧食の包みを取り出した。

 バリッ、ボリッと食べる音が聞こえてくる。兵長は人前では食事は摂らないことで有名なのだが、なぜか私の前では召し上がるのだ。


「飲み物をお持ちしましょうか?と言っても、今はお水くらいしかありませんが…」

「いや、いい」


 兵長は小さく手を上げて、それからまたバリッと野戦糧食をかじった。

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