第26章 兵長のおまじない
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トロスト区内には想像以上に大量の巨人が入り込んでしまっていたが、調査兵団が到着した頃にはすでに日が暮れかかっており、本格的な掃討作戦は明朝から行われる事に決まったのだった。
つい先日、トロスト区襲撃想定訓練をしたばかりだったこともあり兵士達は迅速に働くことができたのだが、そうは言っても突然の出来事に、応戦した駐屯兵団と訓練兵団の疲労は大変なものであった。
早朝から壁外調査に出ていた調査兵団にしてもそれは同じことで、日が沈んで辺りが暗くなる頃には、兵士達は皆ヘトヘトに疲れきっていた。
巨人の掃討作戦が明朝に延期されたのは、暗闇で視界が悪いからというだけでなく、兵士達の体力が限界にきていたことも理由の一つだったのだろう。
そういう訳で、兵士達には休息時間が与えられたのだった。もちろん夜通し交代で巨人達の動向を監視をする必要はあるのだが。
兵士達は壁上にキャンプを設営して身体を休めることにした。
駐屯兵団が運んできてくれたテントを張って一夜をここで過ごすのだが、小さな焚き火くらいはできるから、それでお茶をいれたりする程度はできる。