第4章 ハンジ分隊長
訓練兵団に入団してから早数週間が過ぎ、周りを見渡せばあちらこちらで仲良しグループができているように見えた。
大体が、出身地や成績の近い者同士でくっついているように見える。
とは言え、男子も女子も一緒になって日々厳しい訓練を受けているせいもあって、男女の垣根もなく、全体的にみんな仲が良かった。まさに同じ釜の飯を食った仲間、というやつだ。
そんな中で唯一あからさまに浮き上がっていたのが、私だ。
もちろん、人付き合いが苦手で群れることを良しとしない子も何人かいる。だが、そういう子たちと私には決定的な違いがあった。
群れない子は、ほとんど他の訓練兵と話さないし関わりを持たない。せいぜい訓練で誰かとペアにならなければいけない時くらいしか、人に近づいてくることはない。
だから周囲も、あまりそういう子には構わない。無視する訳ではないが、本人が関わりを望んでいないことが分かっているので、放っておいているのだ。
だが私の場合、なぜかチラホラ声をかけられるのだ。そしてその後には決まってヒソヒソ話をされる。
何を言っているのか聞こえたことはないが、きっと良い事は言われていないに違いない。だって良いことだったら、そんな話し方はしないだろう。
それに、みんなから距離を置かれていると感じるもう一つの理由として、きっちりとした敬語を使われるというのがあった。
思えば、年齢を知られて以降から敬語になったので、2歳も年上だからと気を使ったのかもしれない。
だが、1歳年上の子には敬語を使っていないようなのだ。
1歳と2歳…私からしたらそんなに大差は無いように思うのだが、12歳の感覚からすると大差があるのかもしれない。
いずれにしても、いつでも硬い口調で話しかけられて、ヒソヒソ話をされるのでは、打ち解けられるはずも無かった。