第24章 あなたの横顔は
その後、二人にもペトラ同様にバケツを持っている理由を尋ねられ、私はデジャヴを感じながらも説明したのだった。
お酒に弱い私の失態をひとしきり笑った後、エルドさんが言った。
「ところで、ついさっき発表になったんだが、次の壁外調査の日取りが決まったぞ。今日から丁度一ヶ月後だ」
一ヶ月後…。オルオとペトラがゴクリと息を飲むのを感じた。リヴァイ班の精鋭と言えども、やはり壁外調査は緊張するものなのだ。
「明日の訓練からは連携技の調整も追加するぞ。気合い入れてけよ?オルオ、ペトラ」
エルドさんの言葉に、二人は大きく頷いた。
「「はいっ!エルドさん、グンタさん、ご指導よろしくお願いします!」」
「あぁ、それとな、俺たちのことはもう「さん」付けしなくていいぞ。お前たちも晴れてリヴァイ班になって一年経ったんだ。実力も十分についてきている。これからもよろしく頼むぞ」
エルドさんから話を引き継いで、グンタさんがそう言った。
「良かったね!オルオ、ペトラ!」
横で聞いていた私も嬉しくなってきて、思わず立ち上がって二人の背中をポンと叩いた。
「ありがとう、ラウラ」
キラキラとした笑顔を浮かべて振り向いたペトラだったが、私の顔を見て瞬時に顔を青くしたのだった。
「きゃあぁ!ラウラ!バケツ、バケツ!」
「うっぷ」
急に立ち上がったのが良くなかったのか。私は猛烈に襲ってきた吐き気に耐え切れず、勢いよくバケツに顔を突っ込んだのだった。