第23章 成果
案内役の兵士につれられて、総統のお部屋の前に立つ。
この扉の向こうに、全兵団をまとめるトップがいらっしゃる。大、大、大幹部だ。何しろ全兵士の頂点に立つ方だ。
本来、私のような下っ端兵士がお会いできるような方ではない。
今回持ってきた絵を描いている時、私は総統のことを考えながら、あれやこれやと空想していた。
一体どんな方なんだろうとか、この地位まで上り詰めたのだから、やはりそれなりにお年なのだろうとか、兵士をまとめるためには強さも必要だから厳しい人なのかとか…。
そう考え始めると、想像の中の総統の姿は、どんどん迫力を増した。
もはや私の想像の中にいる総統は、エルヴィン団長以上の長身で、リヴァイ兵長以上に鋭い目付きの偉大夫になっている。
我が想像ながら、とんでもなく恐ろしい人物像が出来上がったものだ。
コンコン、とエルヴィン団長が扉をノックすると、部屋の中から「入りたまえ」と声が返ってきた。
ドア越しのくぐもった声だったけれど、低く落ち着いた声だった。