第23章 成果
〇
壁外調査から帰ってきたその日の夜から、さっそく私はザックレー総統に提出する絵の制作に取り掛かった。
巨人を観察している時の自分の行動については全く覚えていない。
だけど、観察した巨人の姿は完璧に記憶している。
頭に焼き付けてきた巨人の姿を、私は一心不乱になってキャンバスに描き起こしていったのだった。
そのまま一夜を明かしてしまいそうな勢いであったが、さすがに壁外調査の疲れが出たのか、消灯時間を過ぎた頃になると私はどうしても目を開けていられなくなり、ついウトウトと船をこぎ始めた。
(眠い…でも眠りたくない。早くこの絵を描き上げたい…)
そう思いつつ、椅子にもたれた身体から力が抜けていくのを感じる。
まぶたが完全にくっつく直前に、頭の上から声が聞こえたような気がした。とても聞き覚えのある、安心する声だ…。