第23章 成果
毎回毎回、巨人を見るたびにこんな風になってしまったのでは、周囲の人間達は大変である。
とりわけ、いつもその尻拭いをさせられているリヴァイにかかる負担は大変なものだ。
だがそれでも、文句を言いつつもリヴァイがその役を引き受けているのは、ラウラの絵にはそれだけの価値があると認めているからだった。
リヴァイは誰にも言った事は無かったが、ラウラの絵が好きだった。我を忘れるほど本気で取り組む姿勢を、世話が焼けると思いつつも好ましいと思っていたのだ。
それに、そうまでする覚悟の訳を知っている。
以前、ラウラが話してくれた辛い過去。
巨人に蹂躙され、失ってしまった家族の事。志半ばで死んでいった幼馴染の事。家族も同然だった人達の事。
その者たちに報いるために、彼女は命を燃やすようにして絵を描いているのだろう。たくさんの涙を流しながら。
(いつかコイツにも、穏やかな気持ちで絵を描ける日がくればいいのに)
きっと今も、狂気じみた顔をして絵を描いているであろうラウラの表情を想像して、リヴァイはそう思ったのだった。