第17章 巨人捕獲作戦
「う~、う~」と馬鹿みたいなうめき声を上げて見てくる巨人の事を見つめ返して、ラウラはこぼれ落ちそうに大きな瞳をギョロギョロとさせていた。
(目ん玉落ちちまうんじゃねぇか)
と思った時、本当に目玉がこぼれ落ちたように見えて、俺はギョッとした。
だがよく見たら、こぼれ落ちたのは大粒の涙だった。
ラウラはボタボタと涙を流し始めたが、それでも巨人から視線は外さない。その泣き顔に俺は見覚えがあった。
こいつを初めて見かけた時、超大型巨人の襲撃を受けた時に遭遇した巨人の絵を描きながら、こいつはこんな顔をして泣いていた。
…きっと今も、その時のことを思い出しているのだろう。
「ちっ…」
俺はラウラの小さな身体を担ぎ上げると、スタスタと兵舎に向かって歩き始めた。
驚くべきことに、ラウラはそれでも絵を描くのをやめなかった。俺の背中にスケッチブックを押し当てて、まだ描いていた。
「やれやれ…どうなってんだコイツといいハンジといい…」
大げさにため息をついて歩みを進めると、こちらを見ながら何やらヒソヒソと話をしている兵士たちの顔がふと視界に入ってきた。
まだガキくせぇ顔をしているから、きっと今期の新兵たちだろう。ということは、ラウラの同期か。
こちらをチラチラと見ながら小さな声で話している姿というのは、見ていてあまり気分の良いものではない。
このまま俺たちがいなくなるまでそれを続けられるのかと思ったら、「勘弁しろ」という怒りがわいてきた。
俺はそのガキどもの方へ足を向けると、ジロリと睨み上げた。
クソなことだが、そいつらはガキのくせに俺よりも背が高いから、自然と見上げる格好になる。だが、こんな生まれたての赤ん坊みたいな奴ら、視線だけで十分だ。