第17章 巨人捕獲作戦
俺も一安心して、やっと巨人のくせえ臭いから開放されるかと思った時だった。ラウラがフラフラと巨人に向かって歩いていく姿が見えたのは。
ラウラは、その大きなコバルトブルーの瞳を見開きながら巨人から数メートルのところに座り込むと、上着の内ポケットから小さなスケッチブックを取り出してガリガリと一心不乱に描き始めた。
(やはりな)
大体予想はできたことだったが、ラウラは夢中になって巨人の絵を描いていた。
だがその顔には、俺から見ても少しぞっとするような狂気じみた笑顔が浮かんでいて、いつもの比ではない集中力を発揮しているのがハッキリと分かった。
俺はしばらくの間ラウラの斜め後ろに立って、夢中になったあいつがこれ以上巨人に近づいていかないように目を光らせていた。
地べたに座り込んでいるのは汚ねぇが、まぁ、とりあえず今だけは許してやる。
だが、ラウラが近くに座り込んでいるものだから、拘束された巨人たちの目はラウラに集中して、次第と興奮してきた様子だった。
おそらく外れることはないだろうと思うが、巨人の体に深く打ち込んだ杭がギシギシと不穏な音を立てている。
「ちっ…少し離れさせた方がいいか」
俺は少し乱暴かとは思ったが、ラウラの肩を揺さぶって声をかけた。
こうでもしなけりゃ、こいつはいつまで経っても気づかないだろう。この状態のラウラに、おとなしく声だけかけたのでは、絶対に耳に届かない。
だが少し強めに揺さぶったのにも関わらず、ラウラは気付かなかった。そして、相変わらず絵を描く手を止めることはない。