第17章 巨人捕獲作戦
ハンジ分隊長がエルヴィン団長に提案した捕獲方法は、従来のものとは異なる方法だった。
今までの捕獲方法では、巨人の身体を拘束するまでに何十人もの兵士が犠牲になってしまうのだが、新たに考えだしたこの方法を採用すれば、犠牲者はゼロもしくは限りなく少なくすることができる。
その新しい方法というのは、壁際に巨人を追い込んで、あらかじめ設置しておいた網で壁上から捕獲するというものだった。
これならば距離を保ったまま巨人の動きを封じることができるし、捕獲の際に兵士が食われることもない。
ただ一つだけ難点としては、巨人を壁際におびき寄せて、網を張ったポイントまで誘導するためには、数名の兵士による囮行動が必要になることだった。
もちろん、すぐそばに援護班が待機しているので、万が一、囮役の兵士が巨人に捕まってもすぐさま助けに入ることができる。
だが必ずしもすぐに巨人の手から開放させることができる訳ではないので、戦闘に苦戦している間に、囮役の兵士が食われてしまう可能性も無くはなかった。
リスクはゼロではない。だがそれでも、従来の方法に比べればはるかに犠牲者を少なくすることができる方法だと思う。
巨人研究班のメンバーが中心となって、作戦の実行計画の立案や必要な道具の準備を行った。
そして後は囮役を決めるだけ、という段階まで来た時、私は作戦準備中からずっと考えていた思いを、ついに口にしたのだった。
「囮役は、私にやらせていただけませんか?」
私はどうしても囮役をやりたかった。ほんの少しでもいいから、直接巨人と対峙したかったのだ。
私は今までに何度か壁外調査に参加したが、いずれも巨人との戦闘は経験することなく終了している。
巨人と直接戦闘を行う班に配属されていないのだからそれは当然なのだが、いつも誰かが巨人を倒してくれるのを待っているだけの自分が、歯がゆくて仕方が無かった。