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【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第16章  尊敬







「開門30秒前!!総員、出立準備!!」

 エルヴィン団長が声を張り上げ、皆、出発への秒読みを始めて身体を緊張させている中、ハンジ分隊長だけは少し気の抜けた表情をしていた。

 今日は、いよいよ壁外調査の日なのだ。

「はぁ…、いつも通り退屈な男どもの、退屈な答えだねぇ」

 私の前方で待機していたハンジ分隊長は、そう言ってため息をつくと、「やれやれ」といった感じで頭を振った。
 私はすぐ後ろに整列していたため聞こえてきたのだが、つい先ほどハンジ分隊長は、リヴァイ兵長やミケ分隊長に「巨人の捕獲に協力してくれない?!」と持ちかけ、すげなく断られていたのだ。

 「やれやれ」と言っている割には、分隊長の表情は明るい。
 取り付く島もない言い方(特にリヴァイ兵長から)で断られたにも関わらず、ハンジ分隊長の意気は全く落ちていないようだった。
 こういうメゲないところが、私は大好きだった。本当にあのバイタリティーは尊敬しているし、いつも見習おうと思っている。

「ねぇ、ラウラ。君は協力してくれる?」

 ぐりん、と振り向いてきたハンジ分隊長に急に問われ、私は思わず戸惑った。だが、分隊長のやや斜め後方にいたモブリット副長が苦言を呈してくれる。

「分隊長!新兵にそんな事を言うのはやめてください!無用に混乱させてしまいます!」

「あぁ、いやぁ、冗談だよ冗談。…1割くらいは」

「分隊長っ!!」

 そんないつも通りのやり取りを聞きながら、私は二回目の参加となる壁外調査に向けてドキドキと高鳴る心臓を押さえながら言った。

「でも、私も巨人をじっくりと観察してみたいです」

「!!!ラウラ、君ってば、やっぱり最高だ!!いつかきっとあの子たちを捕獲して、思う存分観察し尽くそう!!」

 叫ぶようにして言った分隊長は、ニカッと白い歯を見せて笑った。

「はいっ!」

 私も、ハンジ分隊長のとびきりの笑顔につられて笑顔になる。
 今は心臓がバクバクとうるさいけれど、きっと外に出たら、お湯が覚めるみたいにして徐々に落ち着いていくに違いない。初めての壁外調査の時だって、そうだったのだから。


「第49回壁外調査を開始する!進めーっ!!」

 エルヴィン団長の号令と共に、私たちは門の外へと飛び出して行ったのだった。

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