第14章 プレゼント
「つーか、兵長がご自分のクラバットで、鼻水を拭いてくれたってのには驚きだな。
お前も知ってるだろうけど、兵長はすごく綺麗好きだから、…あんまり想像つかねぇな」
「そうだよね。私もびっくりしたよ。でも…リヴァイ兵長って、実はすごく優しい人なんだって思った。
口数は多くないし、言葉遣いだって乱暴だけど、でもその言葉はすっと胸の中に入ってきて、重い石を溶かしてくれるみたいに感じた」
私の言葉に、オルオは「うんうん」と大きく頭を上下させながら頷いている。
「本当にリヴァイ兵長ってかっこいい人だな!
あー…俺もいつか、あのクラバット欲しいなぁ…。みばいいよなぁ」
「みば…??」
オルオの言った言葉が一部よく分からなくて、私は聞き返した。
「あっ、悪い。つい地元の訛りが出ちまった。『かっこいい』とかって意味なんだけど」
「へぇー!教えてもらわなくちゃ分からないけど、訛りって…なんか地元を感じられていいよね。
私の実家の方は、特にそういうのなかったからなぁ」
「いやー…そうか?通じなくて困る時もあるんだけどよ。それに……」
ちょっとオルオが言葉を切って下を向いたので、どうしたのかと思って私は見つめる。
「ペトラがよぉ、『その芋臭いしゃべり方やめたら?』とか言ってきやがるんだ。
あいつだって、同じしゃべり方してたくせに」
私は思わず、小言を言っているペトラの顔を思い浮かべて苦笑した。
そうか、オルオとペトラは幼馴染と言っていたっけ。
という事は、ペトラも以前は、オルオみたいな話し方をしていたってこと?全然気付かなかった…。
「私は好きだよ、オルオのそのしゃべり方。なんか飾ってない感じで、親近感が沸く」
「そっか?…あんがとよ」
ニッと笑ったオルオの言葉に、私は「これも訛りかな?」と思って、微笑ましい気持ちになったのだった。