第14章 プレゼント
私服を着て、兵舎の正門から出ていこうとした時、「おーい、ラウラ、出かけんのかぁ?」と後ろから声をかけられた。
「オルオ」
振り向くと、私と同じ様に私服を着たオルオが向こうから歩いてくるところだった。
「オルオも今日は非番?」
「おう。ちょっと街に買い物に行こうかと思ってよ。この間訓練でシャツ破っちまったんだ。お前は?」
私のもとへと寄ってきたオルオは、服装が違うせいか、いつもとは印象が違って見える。
本人には言わないけれど、少し若者風の服装をしているので若く見える。いや、実際若いんだけど。
「私も買い物…かな」
自分の洋服ではないため、何と言ったらいいのか分からずに、とっさに私は曖昧な答え方をしてしまった。
兵長へのプレゼントを買いに、なんて言ったら誤解されてしまうだろうか?…でも、兵長のことを尊敬しているオルオにだったら平気かも。
「なんだよ、はっきりしねぇな」
「うん…実は、リヴァイ兵長に贈るクラバットを買いに行こうと思ってるんだ」
「えっ?!ど、どういうことだよっ!?お前……」
やはり予想通り、びっくりした様子で勢いよく聞いてきたオルオの顔を見上げた時、私は驚きで一瞬言葉を失ってしまった。
まるで、ハンジ分隊長かと思うほど、オルオの顔がキラキラと輝いていたからだ。
「おい!その買い物、俺も一緒に行くぞ!」
「えっ、ちょっ…オルオ?!」
私の返事も聞かずにズンズンと勢いよく歩き始めたオルオの背中を追いかけながら、私は何の抑止力も無い言葉をモゴモゴとこぼしたのだった。