• テキストサイズ

【進撃の巨人/リヴァイ】君が描くその先に

第12章  変わり者


「分隊長っ、興奮しすぎです!ラウラが驚いてますよ」

「これが落ち着いていられるかっ、モブリット!!」

 モブリットと呼ばれたのは、先ほど扉を開けてくれた、落ち着いた印象の男性兵士だ。
 そう言えばこの部屋は結構な広さなのに、私と分隊長と、彼の3人だけしかいない。

 モブリットさんは、びっくりして動けなくなっている私と、迫り来るハンジ分隊長の間に立って、少し距離を取ってくれた。

 少しだけ離れていったハンジ分隊長ではあったが、まだまだ興奮は冷めやらぬようで、ピョンッと大きく飛び跳ねた。
 と言っても、可愛らしい感じじゃない。
 見えない敵に豪快に飛び蹴りを食らわせるみたいにして、高々と足を振り上げたのだった。
 背の高いハンジ分隊長がそういう事をすると、すごく迫力があって格好よく見えた。

「今すぐエルヴィンにも見せに行こうっ!!」

 2枚の絵を小脇に抱えて、ハンジ分隊長が私の腕をガシッと掴んだ。
 私たちの間に立っていたはずのモブリットさんは、分隊長の身体で弾き飛ばされて膝をついている。

「えっ?!団長にですかっ?!」

 突然のことに、私も素っ頓狂な声を上げてしまう。
 私のような新兵は、団長と話したことなど一度もない。それどころか、その姿を見かけることだってまれだ。
 今まで私がエルヴィン団長を見かけたことなど、入団式の時と、先日の壁外調査の時に隊列の先頭にいる姿を遠目に見たくらいだった。
 それをいきなり会いに行くなどと…緊張で身体が震えた。

「そんな…団長はお忙しくて、私なんかに会っている時間は……!」

 私の返事など、最初から聞く気もないらしいハンジ分隊長は、グイグイと腕を引っ張ってくる。その力は強くで、私のような小柄な兵士では到底抗えないような力強さだった。
 ハンジ分隊長もナナバさんと同じで、年齢や性別が不詳である。女性のように見える時もあれば、男性のように見える時もある。今はまさに、男性にしか見えない。

「大丈夫さっ!すでに話はつけてある。それに彼も、君の絵を楽しみに待っているんだよ!」

/ 660ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp