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泡沫人魚【狩人】

第2章 ニンギョ×ノ×ヒトミ


「アレ?」



気になって聞き返すが企業機密だ、と返される。



『無くていいなら三日で出来るけど…普通の鍛冶師が打った刀と変わらない。アタシが打った頑丈の持ち味が失われる』

「あれば?」

『んー…剥ぐのは痛いから落ちるの待つしか無いんだよねぇ…多分二~三日で落ちると思うから最短で五日後かしら』

「剥ぐ?痛い?落ちる?何言てるね」

『あー、こっちの話。気にしないで』

「………五日後ね、分かたよ」

『じゃあ預かります』



くるりと背を向けてカウンターに運ぶ後姿を見詰める。ふと、キラキラした綺麗な絹糸の様なものが一房、ローブから出ているのに目が止まる。



「………?」



-くいっ-



『痛っ!?え!?何!?』

「これ何か?」



角度と光の加減によっては白銀に見える藤色の綺麗な絹糸。



『あ"ー!!!お願い引っ張らないで痛いから!』

「痛い?」



-くいっくいっ-



『痛たたたた!ちょ、やめ…』



ぱさっ…と衣ずれの音を立ててフードがずれ落ちる。





※※※





人間じゃない…と一瞬、フェイタンは思った。
フードに隠されていた藤色の綺麗な髪の毛は絹糸の様。そして長年ずっと見る事が出来なかった素顔。まるで宝石の様な深紅の大きな瞳は少女の様なあどけなさを残していて。フードと一緒にズレ落ちて露わになった血色の良い唇と妖艶さを引き立たせる口元のホクロ。あまりにもアンバランスだった。



「………」

『………っ!見ないで!忘れて!』



ぷいっとそっぽを向いて深くフードを被り直す。小刻みに震える肩は何かに怯えてる様だった。



「何故隠すか」

『貴方もマントの襟で隠してるじゃない』

「意外とガキね」

『煩い、背はアタシの方が高いもん』

「背、関係無いよ。ガキの喫煙駄目ね」

『アタシの故郷では15から大人なの!18だから立派な大人だもん!』



未だにこちらを向かずに蹲る目の前の女性…否、少女にフェイタンは深く溜息を吐いて肩を竦める。



「他言しない、安心するね」

『!』

「但し工賃負けるよ」

『今までぼったくった事無いですけど!?』

「そうね、サービスしてもらてるよ」



わしゃとフードの上から少し乱暴に頭を撫でると踵を返して扉へ向かう。



「また来る」

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