第9章 ニンギョ×ノ×オモイ
ゆっくりと瞼が閉じられ身体から力が抜けていくのが見て分かる。
「よし、いい子だ」
「てめぇ何しやがった!?」
「ちょっと眠ってもらっただけさ。子供は寝る時間だろう?」
「この…ふざけた事吐かしやがって!」
激怒する旅団を嘲笑うように見回すとチェリーを横抱きに抱える。
「くそっ!動かねぇ!!!」
「それじゃあいい夜を。僕は待ちきれなくて迎えに来ただけだから」
そう言って黒い影の中に入り込み…黒い影が消える。
「待ちやがれ!」
「落ち着け。すぐ取り返す」
一同「!」
クロロの言葉に全員が静かになる。
「作戦とかどうする?」
「愚問だな。関係者全員を殺せ」
「じゃあこの金縛り、なんとかしないとね」
その刹那、全員のオーラが跳ね上がり空気を揺らす。
※※※
「見たまえこの美しさ。退化してもなお美しいのは人魚だからかなぁ」
「元に戻れば更に美しいでしょう。ボスにお似合いです」
「だよねぇ」
静かに眠るチェリーの髪の毛を一房、掬いあげると口付けを落とす。陶器の様な頬をつついてみたり餅の様な手を掴んでみたり。
「もうどのくらい眠ってる?」
「二時間くらいですかね」
「睡眠薬…ちょっと強かったかなぁ」
-ピリッ…-
「!」
「どうした?」
「…侵入者です」
侵入者、と言う言葉を聞いてピクリと眉頭を動かす。不機嫌そうにベットから離れると秘書の髪の毛を掴みあげる。
「………っ」
「わざわざ北の拠点からも人材をこっちに持ってきた。懸賞金も掛けたから観光客も雇ってる様なものだ。刺客は1000人近いハズだが?」
「だと思うのですがっ………申し訳ありません…」
パッと手を離すと膝から崩れ落ちる。
「行け、お前達。絶対にここに通すな」
一同「はい」
※※※
浜辺にある煌びやかな豪邸。数多の刺客を退け門番を破り中へ入ると正面に並ぶ13個の扉。
「13個か…多いな」
「余っちゃうね♣︎」
現在、この場に居るのは戦闘を得意としないパクノダ、コルトピ、その二人を援護するフランクリン、ボノレノフ以外の9名。四つ余る。
「この扉の先の敵は…別格だね。オーラが違う」
「そうだね。結構強そうかも」