第5章 ニンギョ×ノ×キオク
その言葉の意味が分からず全員が首を傾げる。
「俺の刀もチェリーに打ってもらったやつだ。何でも斬れるが絶対に斬れ無いモノが一つだけある」
「まさか」
「そう。作った本人であるチェリー自身だ。チェリーを斬ろうとすると勝手に刀が明後日の方向に行く」
ちゃ、と音を立てて構え直すと大きく振りかぶって躊躇無く首元に刀を下ろす。
-くいっ-
「!?」
ノブナガの言う通り、後3cmで首を切り落としそうになるところで勝手に刃が向きを変え明後日の方向へいく。
-スパン…-
と言う音と共にハラハラとオレンジ色の髪の毛が数本、散っていく。
「何故避けるか」
「だってまだ死にたく無いもの♣︎」
「チ」
「………本物、だな」
「でも何でガキなんだ?チェリーってガキだったのか?」
「それは本人が目を覚ましてから聞いてみよう」
医者によれば全治一ヶ月。子供の体力だと目が覚めるのに三日はかかるだろう、との事。
※※※
その日の夕方。仕事も無く暇を持て余す集団は各々、自由な時間を過ごす。そんな中勢い良く広間に入って来たのシャルナーク。
「た…大変だよ」
広間に居たのはクロロとパクノダとコルトピ。
「チェリー?が目を覚ました」
「医師によれば三日はかかるって…」
「「早過ぎる…」」
クロロは読んでいた本の手を止め、パクノダは銃の手入れの手を止める。
「早く来て」
「「「?」」」
「チェリーが…」
「「「チェリーが?」」」
「可愛い過ぎるんだ…」
「「「………は?」」」
※※※
「…で………こりゃ一体どーなってんだ」
チェリーが目覚めた、と言う報告を受けてアジトに戻ってきた皆は呆然と立ち尽くす。全治一ヶ月、目が覚めるのに三日はかかると言われてた子供がぴょんぴょん跳ねて元気に遊んでいるのだ。
シャルナークに肩車してもらってたかと思うとクロロの背中に乗り移ったりパクノダに抱っこしてもらったり。
『あ!ふぇーたん!傘、元気?』
「………問題無い、よ…」
『のぶにゃが!お髭伸びた!』
「お…おぉ?そう、か…?」
『マチ!抱っこ』
「え!?うん、おいで」
きゃっきゃと騒ぐ姿に目を見張る。