第5章 ニンギョ×ノ×キオク
-バチン-
「ウヴォー、デリカシー無いって言うか違うし」
「悪ぃ悪ぃ」
「そこら辺でやめとけよ」
-バタバタ-
一同「!」
「おや♣︎夜勤組が帰ってきたみたいだ」
-バンッ-
「シズク!!!」
「………はい?」
「体内に入った毒だけを吸い取る事は出来る?」
「出来る…とは思うけど…」
※※※
血相を変えてアジトに戻ってきた夜勤組…クロロ、マチ、パクノダ、シャルナークを見て皆は焦燥感を覚える。旅団の中でも特に冷静でポーカーフェイス代表がこんなにも慌てているのだから。
「でも皆元気そうだけど…」
「私達じゃなくてこの子供」
一同「!」
パクノダが抱えるその子供は血塗れ。呼吸も浅く時より咳き込んで赤黒い血を吐く。言うなれば虫の息、と言ったところか。
「何だそのガキ」
「煩い黙って」
「…おぅ………」
マチの剣幕にノブナガは一歩後ずさる。
「………よし、これで毒は大丈夫だと思う」
『ごほっごほっ』
「…あれ?」
「多分ダメージが大きいんだ。早く診てもらわないと…」
「チェリーに診て貰うのはどうだ?アイツ医師としての腕もあっただろう?」
フランクリンの言葉にパクノダは小さく首を振る。
一同「?」
「チェリーは診れない」
「どういう事だ?」
「抱えてる時に少しだけ記憶が見えた…この子供…チェリーなのよ」
一同「!?」
※※※
見えたのは一瞬だけ。誰かと交戦してる際に真珠みたいなモノを飲んだら突然真っ暗になって…そしたらどんどん身体が縮んでいって…気が付いたらここに居た。
「何だそりゃ。意味が分からねぇナァ」
「俺達にあんな子供の知り合いは居ない」
「だけどあの子、パクの名前呼んでたし…この傘届けに来たって言ってた」
-ひゅ…-
-パシッ-
「………」
赤い番傘をマチがフェイタンに投げ付けて、それを器用に受け取る。
するとフェイタンは音も無く刀を抜き構える。
「いい刀ね」
「そのガキで試してみろよ」
一同「!?」
脅しで医者に治療させてベットで眠る子供を指差しながらノブナガが言う。
「ちょっとアンタ人の話聞いてた!?」
「あぁ、聞いてたよ。だからこそだ」