第3章 ニンギョ×ノ×ココロ
「いやぁ…そうだと思ったんだけどねぇ…♣︎」
「妖しさ更に増してるんだけど?」
「団長達の話によればローブがボロボロになって…」
『これ鍛冶する時の格好だから。火の粉飛んで燃えるから』
少し苛ついた様にピシャリと言い放つと背を向ける。
「あーもー待ってよ♣︎本当に怒りっぽいんだから♡」
『仕事中なんですけど』
くるくると灼熱のトンカチを弄ぶ利き腕とは反対の右腕には沢山の絆創膏が貼ってある。絆創膏程度で済んでる事から聞いてた話より傷は浅いと見受けられた。
「君、狙われてるかもって自覚ある?」
『はぁ…』
カシャとヘルメットのバイザーを上げるとトンカチを振り回しながら詰め寄る。
「「!」」
『深く考え過ぎよ。偶然に偶然が重なった…そんなのよくある事でしょ!もう夜も遅い。さぁ帰った帰った』
と無理矢理二人を追い出して看板をCLOSEに変えて鍵を閉める。
「ねぇ…見たかい?」
「うん、見た。無意識だったのかな?」
「聞いていた通り…情熱のルビーだ♣︎」
※※※
-カンッカンッ-
『ふーっ、暑ぃ』
トンカチで叩く手を休めてタオルで汗を拭う。
『………』
ふと考えるのはヒソカから言われた言葉。
狙われてるのではないか、と言う旅団の推測。
『分かってるっての』
恐らく、ではない。確実に、と言う事は体験した自分が一番分かっていた。
『狙われてるのはアタシ…否、アタシ達の種族』
クシャ、と髪の毛をかき揚げながら俯く。噛み締める唇が切れてポタっと血が一滴地面に落ちる。
『やはり違う種族の共存は難しい…のかな』
揺れる深紅の瞳。長い睫毛が作る影は暗く重たい。
『…駄目、考えるな。まずはマーミィ姉を探さなくちゃ…眼球に残ってた微弱なオーラ…きっとまだ生きてる筈』
※※※
翌日。朝、昼、夕方とチェリーの店を訪れてみるが看板や扉のプレートはCLOSEのままで鍵は閉められたまま。人が出入りした気配も無い。
「全く音沙汰無いけど…生きてんのか?」
「確かめてみればいいね」
力一杯ドアノブを回して鍵ごと破壊する。
「待てって!仮にも女の家だぞ!?」
「お前、そこまで純情だたか?」