第7章 記憶の在り処
晃side
俺は頭の中が真っ白のまま職員室に戻った。
次は確か授業だ。
準備をして教室に向かう。
颯太さん、好きな人いたんだ。
何で俺たちと付き合ってたんだ?
「颯太先生、じゃあ今日の帰り楽しみにしてますね。」
目の前を颯太さんと伊藤が隣の教室から出てきた。
2人っきりだったのか?
「その前に勉強頑張れよ。飯塚に勝ちたいんだろ?」
「はい!もし、勝ったらご褒美くれます?」
「考えとくよ。」
ご褒美?
まさか・・・
いや、それは考えすぎか。
伊藤もそんな意味で言ってるわけじゃないだろう。
「あ、海堂先生。」
「晃・・・」
颯太さんが汗をかく。
「・・・神崎先生。さっきはすみませんでした。」
「あ・・・いや・・・気にしないでくれ。俺も悪かったよ、あんな言い方。」
「・・・何かあったんですか?」
伊藤が颯太さんの顔を覗き込んで尋ねてくる。
「な、なんでもない////」
颯太さんは顔を赤くさせる。
今まで俺と飯塚にしか見せなかった反応だ。
「・・・隠し事無しって言いましたよね?」
「う・・・誤解を解いただけだよ。」
「誤解?どんな?」
「・・・俺と海堂先生の関係だよ。この前話しただろ。昔付き合ってたって。」
その事言ったんだ。
けど、なんでただの生徒にそんな事話したんだ?
「・・・ふーん。海堂先生。」
伊藤が笑顔を向けて俺の名前を呼ぶ。
「海堂先生は凄くかっこよくて、頭も良くて、優しいし人気者ですよね。」
声のトーンが変わる。
怒りが篭った笑顔と声だ。
「けど、颯太先生は返しませんから。」
「「っ!」」
やっぱり・・・颯太さんの恋人って・・・
伊藤だったのか・・・
「お前っ・・・何言って・・・」
「大丈夫ですよ。ここには誰もいませんし。それに、颯太先生の事が大好きな海堂先生には誰かにバラすなんて・・・出来ないですよね?」
言い返せない。
俺にはそんな事出来ない。
それに、飯塚とも颯太さんは関係を持ってた。
誰かになんて言えるわけない。
「それじゃあ、授業に遅れるので僕達は行きます。」
伊藤が颯太さんの背中を優しく押して歩き出す。
「あ・・・そうだ・・・飯塚くんにもよろしくお伝えください。僕、全部知ってますから。彼も。」
「は・・・?」
不安そうな顔の颯太さんを横に伊藤は目を光らせた。
能力者だ。