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先生、好きです。【R18】

第7章 記憶の在り処


晃side

颯太さんの中で俺達の関係が無かったことになっている。
一体何があったんだ?
変わってしまったのは文化祭の後。
あの日は伊藤が眠った颯太さんを背負って来た。
なぜ伊藤が?

「お疲れ様です。」

1限目が終わり、颯太さんが職員室に帰ってきた。
ちゃんと話さないと。

「颯太さ・・・神崎先生。この後授業入ってますか?」

「いや、この後は1限空いて授業だ。」

「何か予定は?」

「テスト問題を作ろうかなって思ってるけど。どうして?」

「少しだけ話しませんか?」

少しだけでいい。
せめて俺達の関係の確認がしたい。
本当に記憶が無くなってるとしたらまた考え直さねぇと。

「・・・わかった。少しだけな。」

颯太さんを連れて使用されていない教室に入る。
ここだと外からも見えない。

「で?話って?」

「・・・颯太さん。俺達との事覚えてないんですか?」

「俺達?達って誰だよ。」

「飯塚ですよ。」

「どうして飯塚が出てくるんだよ。」

颯太さんはその言葉に嘘を付いてない。
表情を見ればわかる。
それに、こんなことふざけて言わない。

「俺達、3人で付き合ってたじゃないですか。颯太さんだって選べないからって言ってたじゃないですか。どうして忘れちゃったんですか?」

「忘れたも何も、そんなデタラメ言うな。俺は今好きな人が・・・あ・・・」

「は?好きな人?」

いつの間に?
どうして言ってくれなかったんだ?

「・・・そうだよ。それに付き合ってるんだ。だから、俺がお前と付き合ってるなんて考えられねぇ。」

「・・・騙してたんですか?」

「だから騙してなんかない!お前少し執拗いぞ。」

「執拗いって・・・恋人が変な事言い出すから心配してるんじゃないですか!どうしちゃったんですか?!」

「変なことなんか言ってない!お前の方こそ、寄り戻したいだけだろ!正直、面倒なんだよ!もう構わないでくれ!」

恋人に面倒だと言われた。
こんなに好きなのに。
愛しているのに。

「頼むから付きまとわないでくれ。恋人がいるんだ。それから、もう連絡もして来ないでくれ。」

「っ!待ってください!どうしてそこまで・・・」

「晃、もうお前に気持ちなんてねぇよ。諦めろ。」

そう言って教室を出ていってしまった。
俺は頭の中が混乱して、その場にしゃがみこんで動けなかった。
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