第6章 もう1人
颯太side
「颯太。」
「だからさ・・・学校では先生付けろって。」
「もう皆慣れてるよ。」
慣れちゃダメなんだって。
怪しすぎるでしょ。
「文化祭なんだけどさ、いくつか材料足りなくて。買い出し行かないといけねぇんだけど。」
「あー、お前らで行けるか?俺、今ちょっと忙しいんだ。」
文化祭が終わればすぐテストだ。
それに向けて試験範囲を調整している。
「そっか・・・頑張って。」
一緒に行きたかったのか、少し寂しそうだ。
普通は学生同士で行くもんだろ。
「伊藤は?一緒に行ってこいよ。」
「・・・そうだな。」
後ろを向いたまま答える。
喧嘩でもしたのか?
気まずそうだ。
まぁ、自分たちで解決させるのも俺の役目だな。
「気をつけて行ってこいよ。」
「うん。」
文化祭か。
去年の文化祭は結構賑やかだった。
今はあまり縛りが無いみたいで、ステージ部門も好き放題。
そう言えば今年は担任だから、うちのクラスを見回らないと行けないな。
それからほとんどの教師が生徒と参加してる。
俺ももしかしたらそうなるかもしれない。
ダンスか・・・
苦手だな・・・
・・・え、待って・・・
確か・・・
『女装男装してダンスとか?』
女装!?
いやいや流石に俺はないだろ。
女装って・・・俺にはキツすぎる・・・
若いならいいけど、もう30手前だぞ・・・
童顔とは言われるけど・・・