第6章 もう1人
宏side
「宏?」
「あ、ごめん。考え事してた。何の話してたっけ?」
「・・・文化祭の話だよ。具合でも悪いのか?」
「いや、特には。」
伊藤との話を思い出して全く聞いてなかった。
颯太はどう思ってんだろ。
「なに?」
「いや・・・」
「・・・俺の彼氏なんだろ?隠し事は無しな。」
「はぁ・・・颯太はさ、今日の伊藤見てどう思ったのかなって。」
伊藤の気持ちは俺からは言わないでおこう。
「伊藤?まぁ・・・正直、すっげぇかっこいいと思った。どタイプ。」
やっぱりな。
俺とはそのうち別れようと言ってくるかもしれない。
「え、なに?嫉妬した?」
「してない・・・」
「ぷはは!嘘だよ!冗談!俺にはお前と晃がいるから。」
「うん・・・」
そうだよな。
颯太はそんな奴じゃない。
ちゃんと考えてくれるって言ってくれたし。
「さ、そろそろ帰らねぇとな。途中まで一緒行くか?晃も居るけど。」
「行く。」
考えないようにしよう。
きっと颯太は告白されても俺達を選んでくれる。
俺も負けてられない。
もっとかっこよくなって、颯太に選んでもらう。
「あ、颯太さん!遅いですよ!」
「ごめんごめん。宏と文化祭の事で話しててな。」
「2人でですか!?ずるいです!」
「勝手に先に職員室出たのはお前だろ。」
「そうですけど・・・」
「ほら、早く帰るぞ。」