第5章 夏デート
颯太side
「着いたー!」
晃との2泊3日の旅行はあっという間だった。
すごく楽しかったな。
「なんだかんだ、地元が1番ですね。」
「確かに。」
晃との写真を見返しながら、思い出に浸る。
久しぶりに楽しめたな。
ヴーヴー
あ、宏から電話だ。
晃から距離を取り電話に出る。
「もしもし?」
『よかった。出た。』
「どうした?」
『来週空いてる?』
「おぉ。空いてる。」
『水曜日にさ、隣町で祭りがあるらしくて。一緒に行きたいなって。』
「いいよ。わかった。」
デートの誘いだ。
待ち合わせ時間を連絡して電話を切る。
「飯塚ですか?」
「あぁ。」
気づいてたか。
「デートの誘いとか?」
「そんなところ。」
「・・・俺ばっか独占してちゃダメですもんね。でも、そのっ・・・」
どうしたんだろ?
顔赤らめて。
「やっぱり・・・颯太さんを取られたくないです・・・もし、飯塚の事選んだらって思うと・・・怖くて。」
「ごめんな。俺が選べないから悪いんだ。ちゃんと考えるから。」
「・・・はい。・・・例え颯太さんが俺を選ばなくても受け入れるつもりです。」
晃のその顔は寂しそうだった。
わかってる。
俺が悪い。
重い空気のまま晃と別れた。