第3章 どっちも・・・
颯太side
「颯太が昔、火で蝶を作って羽ばたかせた事あっただろ?」
「あーあったな。」
「俺、あの時すごく感動してさ。こんなに綺麗な物があるんだって。そしたら、颯太の歌声聴いて、あぁ、この人の声も綺麗なんだって。じゃあ、きっと心も綺麗なんだろうなって思ってたら、お前の事すぐに好きになった。本当に心も綺麗で、可愛くて・・・」
「恥ずかしいからやめてくれ////」
「本当・・・可愛いな。」
「うっ・・・////」
「ぷっ!顔真っ赤!(笑)」
仕方ないだろ・・・
そんな顔で可愛いとか言われたら・・・
俺がイケメンに弱いこと知ってて言ってんだろうけど・・・
「・・・今じゃ、もう火は出せないのか。普通の人間になったんだよな。」
「・・・うん。」
「颯太。ちょっと我儘聞いてくれないか?」
「・・・今まで我儘しか聞いたことねぇよな?」
「そうかも・・・手、貸して?」
「?」
俺は座り直し、宏に手を差し出す。
宏は優しく手を取る。
「目、瞑って?」
「え?何すんだよ?」
ちょっと怖いんだけど・・・
「いいから。」
「・・・はぁ。」
まぁ、いいや。
特に何も無いだろうし・・・
・・・あれ?
何この感じ・・・体が軽い。
宏の手はまだ俺を握っている。
「・・・いいよ。目開けて。」
「ん・・・っ!?えぇぇぇ!?わぁ!?」
う、浮いてるぅ!?
すごい・・・
高い・・・
「ちゃんと握ってて。落ちちゃうから。」
「俺・・・空飛んでる・・・」
「うん。」
「お前の能力、すごいな。」
「・・・これできるようになったの最近。まだ俺一人分がギリギリだった。」
「っ!お前・・・能力高めてるのか?」
「うん・・・颯太に1番に見せたくて・・・颯太とこうやって一緒に」
「ふざけんな!!そんな事したら身が持たねぇぞ!?」
「っ!何言って・・・」
「人間の体って事には変わりねぇんだ!そんな事したら死ぬぞ!」
「ちょっ!落ち着け!落ちる!」
「俺はお前の事が心配で言って・・・っ!!」
「あっ!颯太!!」
やばい・・・
落ちてる。
このままじゃ屋上に・・・
宏が一生懸命手を伸ばして掴もうとしているのがスローモーションに見えた。