第8章 大切な人だから
晃side
「颯太さん!どういうことですか!?」
式が終わってすぐ、颯太さんを人気のない校舎裏に呼び問い質す。
式が終わるまで抑えていた。
勿論、その時の飯塚の顔も驚いて目が点になっていた。
「ごめん。実は前から辞めることは校長に話してたんだ。他の人には誰にも言わないで下さいってお願いしてた。」
「どうして・・・」
「だってお前止めるだろ。」
そんなの当たり前だ。
だってせっかく同じ職業目指してここまでやっと来たのに。
それなのに・・・
「けど、安心しろよ。」
「は?安心なんて出来ませんよ!これからどうするつもりなんですか?!」
「このまま教師続けてたら、どうせいずれは異動になる。そうなればお前とも離れる事になる。」
「そうですけど・・・」
「だからさ、お前の元から離れなくていい様に教師やめて、異動しなくていい仕事に就こうって思ってよ。」
「え・・・だから・・・」
「そうだよ。それに、前からちょっと誘われてた仕事があって。塾講師。それだとお前と離れなくて済むだろ?」
「っ!」
そこまで考えてたのか。
何勝手に突っ走ってんだよ、俺。
「・・・それから、新しく家まで契約した。」
そう言って鍵を俺に渡してきた。
「っ!これって・・・もしかして・・・」
「そのもしかしてだよ。」
颯太さんはそのまま背を向け職員室へと戻ろうとしていた。
それを後ろから抱き着いて止めた。
「颯太さん・・・俺嬉しいです。今日にでも荷物まとめて家に行きます。待ってて下さい。」
「その前に、今の家の事も片付けないとだけどな。」
「待ちきれません!」
「ちゃんとしないとダメだ。」
嬉しい。
本当に。
これから先一緒にいられるんだ。
玄関を開ければ颯太さんが家にいるんだ。
隣でおやすみと、おはようを言えるんだ。
「晃、ここ学校だ。離れろよ。」
「あ、すみません・・・」
「・・・ま、これからは気にせずにイチャイチャできるけどな。」
「颯太さん・・・」
「けど、今日までは家まで禁止だ!じゃあ、戻るぞ?」
「はい!」