第8章 大切な人だから
晃side
体育館にはゾロゾロと学生が入り始めた。
皆遅くまで起きてたのか欠伸をしている生徒が多い。
「おはようございまーす。」
「おはよ。」
欠伸をしていてもしっかり挨拶はする。
「あ!海堂先生!次は何処の担当なんですか?」
「それは秘密。」
「えーなんで?」
颯太さんの真似をして生徒を整列させる。
時間通りにチャイムが鳴る。
それと同時に教頭先生の挨拶が始まる。
「新1年生、緊張してますね。」
「はは。2年も1年前まではこんな感じだったけどな。・・・ほんとこの1年で大きくなったよな。」
校長の話がどんどん進んでいき、退任する先生方と異動される先生方の紹介に入った。
「もうすぐ発表ですね。」
「・・・行くか。」
「え?」
颯太さんが歩き出し、生徒の前にほかの先生方と並び立つ。
え?
どういうことだ?
だって何も聞いてない・・・
異動?
どこに?
遠距離になるってこと?
そんなの・・・
「まずは退任される先生方です。では、順番に。」
「本日退任することになりました。神崎颯太です。」
「・・・は?」
その場にいた俺だけでなく、生徒達もざわめく。
「え?神崎先生が?」
「まだ若いよね?」
「どうして?」
俺も同じ気持ちだ。
生徒ならまだしも・・・
恋人の俺にまで・・・黙って・・・