第8章 大切な人だから
晃side
それから俺は颯太さんとよりを戻すことが出来た。
飯塚にも話をした。
分かっていたか驚く事も無く、受け入れてくれた。
颯太さんはずっと謝っていたけど、飯塚に「面倒くさ」っとひと言言われて黙りこんでいた。
その時の飯塚はいつもの様に表情1つ変えずに帰って行ったが、その後ろ姿は何処か寂しそうだった。
俺には泣いてるのが分かった。
颯太さんにカッコ悪い姿を見せたくなかったのだろう。
「もう1年経ったのか・・・」
「早いですねー。」
「そうだな。宏も2年か。」
「心配ですか?」
「・・・まぁ・・・ギリギリ進級できたしな。」
「結局授業は出てなかったですもんね。」
飯塚はあの後も颯太さんの授業しか出なかった。
それでも試験の点数は毎回トップだったからまだ軽い補習だけで済んだから良かった。
「颯太さんが2年も担当でしたから数学だけは安心ですね。」
「あ・・・あぁ・・・そう・・・だな。」
様子がおかしい。
具合でも悪いのかな?
「あの、どうか・・・」
「それでは私達も移動しましょうか。もうすぐ式が始まります。」
今日は始業式。
それぞれの担当教師が発表される。
それに加え、異動する先生方と新任の先生方の紹介だ。
「そう言えば、今年は颯太さんと別でした・・・どこ担当なんですか?1年生には名前が無かったので、2年生とか?」
「ん?秘密ー。」
「なんでですか?!」
「・・・どうせすぐ分かるだろ?」
「そうですけど・・・」