第8章 大切な人だから
颯太side
目が覚めた俺は、次の日に退院する事が出来た。
宏は既に病院には居らず、先に帰っていた。
「颯太さん、もうどこも辛い所とかありませんか?」
「大丈夫だよ。・・・晃、本当に申し訳なかった。俺、自分の気持ちのまま動いて・・・まだお前の事何処かで好きだって事も気づいてたのに・・・」
家までの帰り道、車の中で話していた。
「気にしてませんよ。だって今はこうやって、俺の傍に居てくれてるじゃないですか。」
そう言って、手を握ってくれる。
暖かい。
やっぱり、あの時の晃と変わらないな。
「颯太さん。少し寄り道してもいいですか?」
「あぁ。」
晃は街から少し離れ、高台へと車を走らせた。
少し登ると人気のない公園が見えてきた。
夕方だから、子供達が丁度帰った後かもしれない。
2人で車を降り、高台から街を眺める。
「こんな所あったんだな。・・・高ぇ・・・」
「颯太さん。実は目覚めた時に1番に言おうって決めてたんですけど、颯太さんが俺の名前を呼んでくれた時、あまりにも嬉しくて・・・だから、今言わせてください。」
「・・・はい////」
少し照れくさくなってつい敬語になってしまった。
「颯太さん、好きです。ずっと一緒にいたいです。もう、昔みたいに貴方を傷付けないと約束します。これから先も貴方の傍で支えさせてください。」
「・・・もし、また昔みたいになったら?」
「そ、その時は・・・えっと・・・は、腹切ります!」
「何時代だよ。・・・そんな事しなくていいよ。お前、自分でちゃんと気づいてるだろうし。伊藤と宏を能力使わずに止めようとしてくれただろ?だからもう、信じてるよ。」
もう昔の晃とは違う。
俺たちは大人になったんだ。
「晃・・・これからもよろしくな。」
「・・・はい!」