第8章 大切な人だから
晃side
「・・・あ・・・き・・・ら・・・?」
っ!
颯太さんが目を開けて、口を開いた。
伊藤が能力解除を続けて1時間以上が経っていた。
「颯太さん!?俺の顔見えますか!?」
2回頷き笑みを見せた。
「あき・・・ら・・・」
「はい!晃です・・・颯太さん・・・」
「あきら・・・ごめん・・・ごめんね。」
涙を流し始めた。
それでも顔は笑っている。
「どうして・・・謝るんですか・・・颯太さんは何も悪くないです・・・」
「ごめんね・・・あきら・・・あいしてる・・・お前をいちばん・・・あいしてる・・・」
必死に声を出して伝えてくれた。
その掠れた声に俺の心臓は揺れた。
やっぱり、この人じゃなきゃ駄目だ。
「俺もですよ・・・今更何言ってるんですか・・・」
「よかった・・・」
そのまままた眠ってしまった。
急いで医者を呼び診てもらった。
結果は驚く事に何も問題が無く、健康な身体になっていた。
呼吸の乱れも、新機能状態も全て治っていたらしい。
「伊藤、ありがとう。お前のお陰だ。」
「僕は何もしてないです。ただやるべき事をしただけで。・・・これで失礼します。」