第8章 大切な人だから
晃side
病院に連れてきて、すぐに颯太さんは検査を受けた。
結果は何もわからなかった。
ただ、心機能がかなり低下していて身体が弱っているようだ。
治療方法もわからず、颯太さんは病室に運ばれた。
このまま行けばもう助からないだろうと医者にも言われ、俺は朝方まで付き添っていた。
「海堂。」
将輝先輩と樹輝先輩もやってきた。
颯太さんの状態を話すと2人とも悔しそうな表情を浮かべた。
「海堂すまない。俺が、もっと何か知ってれば。」
「将輝先輩は悪くないです。謝らないでください。」
「・・・ずっとここにいるのか?」
樹輝先輩が颯太さんの横に来て尋ねる。
「はい。目が覚めた時、伝えたい事があるので。もし目が覚めなくても、俺はずっと颯太さんのそばにいるつもりです。」
「そうか。」
飯塚と伊藤は先輩が病院まで運んだらしい。
2人は特に問題なく、飯塚は栄養失調みたいなものだろうと判断された。
伊藤はすぐに目が覚めたらしい。
「本当にありがとうございました。もう大丈夫です。あとは何とかします。」
「分かった。」
俺は2人が出ていったのを確認して颯太さんの手を握る。
少し冷たくなっていた。
「颯太さん・・・頑張ってください。」