第8章 大切な人だから
晃side
俺は伊藤が大丈夫な事を確認し、3人を横たわらせる。
「で?何があった?颯太はもう無能力者のはずだ。」
将輝先輩が俺に尋ねる。
樹輝先輩は飯塚の首にかかったペンダントを取り、自分にかけ直す。
「そう言えば、颯太の能力はお前が受け継いだんだよな?」
「はい。颯太さんは今でも無能力者です。」
「じゃあどうしてだ?」
起きた事を全て先輩に話した。
話し終えた時、2人とも驚いていた。
こんな事ははじめてだからだ。
詳しい将輝先輩でも知らなかった。
「なるほどな。」
「巻き込んでしまいすみません。樹輝先輩も、ペンダントありがとうございました。けど、それ外して大丈夫なんですか?」
「少しの間だけなら抑える事ができるようになった。それよりも、颯太・・・大丈夫なのか?」
「・・・わかりません。将輝先輩、何か知りませんか?」
「生憎だが、俺にもわからない。初めてのケースだ。飯塚は休めば回復するだろ。かなり時間はかかるだろうが。」
よかった。
2人は何とかなりそうだ。
問題は颯太さん。
まだ、苦しそうだ。
呼吸も荒い。
「正直、颯太は危ない状況だ。もしかしたら・・・もう長く・・・」
「そんなことさせません。絶対に。颯太さんは死にません。」
そう信じてないと、本当に駄目な気がするから。
「とりあえず、病院に行きます。救急車も呼びましたし。」
「それ、大丈夫なのか?もしバレたら・・・」
樹輝先輩が将輝先輩に確認する。
確かに俺達能力者の存在がバレたらまた生きにくくなる。
でも・・・颯太さんを放っておけない。
「・・・颯太は無能力者だから大丈夫だろ。・・・100%とは言わないがな。」
「そろそろ来ると思いますので、失礼します。」
俺は気を失ってる颯太さんを背負い外に出た。
「将輝先輩、樹輝先輩。本当にありがとうございます。それから、迷惑かけてすみませんでした。」
「・・・あぁ。気をつけろよ。」
「俺達もすぐ行く。」