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先生、好きです。【R18】

第8章 大切な人だから


晃side

「伊藤が死ねば・・・颯太は・・・」

「ひろ・・・俺は・・・もういいから・・・」

「いいわけない!颯太が・・・好きだから・・・幸せになって・・・欲しい・・・」

颯太さんが飯塚に這いつくばって近づく。
俺は何も出来ない。
どうしたらいいか分からない。
俺の能力はここにいる全員を殺しかねない。

「馬鹿かよ・・・そんなことしたら・・・俺・・・お前に会えなくなるだろ・・・それにまた叱れない・・・」

「確かに・・・さっき俺が言ってた事矛盾してるな・・・けど・・・忘れられて見守るより・・・死んでも颯太の記憶の中に入れる方が・・・俺は幸せだ・・・」

颯太さんの手が飯塚に近づく。

「ひろ・・・そんなんじゃ・・・おれ・・・幸せになれない・・・お前がいないなんて・・・」

飯塚の頬に手が触れる。

「こうやって・・・もう触れることが・・・出来ないなんて・・・頼む・・・もう解いてくれ・・・」

颯太さんは涙を流すが、きっとそれも飯塚には見えてない。
ただ、頬から伝わる颯太の熱を感じて飯塚も涙を流していた。
今唯一動けるのは俺だけ・・・
飯塚を眠らせるしかないか。

飯塚に向かって歩み寄る。

「飯塚、すまない。」

意識を飛ばそうと腹を思いっ切り殴ろうとした時、飯塚の首にペンダントがかけられる。
これどこかで見た事が・・・

「何事かと思って追いかけてみれば・・・」

「生きる死ぬとかの問題より先にスピード違反で捕まえるぞ。」

顔を上げて見ると、立っていたのは樹輝先輩と将輝先輩だった。

「いっくん・・・将輝くん・・・どうして・・・」

「たまたま樹輝といたんだよ。そしたら猛スピードで走ってく海堂の車が見えたから追いかけてきたんだ。」

ペンダントの力で飯塚の能力が解け、瞳に光が戻る。
颯太さんもそれに安心して飯塚に抱きつく。

「よかった・・・」

「颯太・・・?どうして能力が・・・発動しない?」

「このペンダントは元々俺の力を抑えるために作られたやつだ。」

「本当に・・・よかっ・・・」

颯太さんはその場で気を失った。

「颯太さん!?」

「颯太!?・・・余計な事すんな!こんな物・・・っ!」

「大人しくしてろ。」

将輝先輩が飯塚の腹を軽く殴り、気を失わせた。

「さて・・・どうする?樹輝。」

「とりあえず・・・海堂、説明してくれ。」
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