第8章 大切な人だから
晃side
「なんだっ・・・これっ・・・」
この能力・・・
「飯塚!」
壁に体を預けて目を光らせていた。
「お前っ・・・その体で・・・」
「ひろっ・・・お前なにやってんだ・・・」
「・・・もう忘れられたくない・・・また一緒に遊びに行きたい・・・また・・・颯太にしっかりしろって怒られたい・・・だから・・・」
飯塚は意識が朦朧となりながら能力を発動させ続けた。
「もうやめてくれ・・・ひろ・・・わかったから・・・もうそれ以上・・・」
颯太さんが必死に声をかけるが飯塚は全く聞く耳を持たない。
「飯塚くん・・・こんな事で僕は止められないよ・・・」
「分かってるよ・・・だから・・・」
飯塚は伊藤に向けていた手をグッと握りしめた。
その瞬間、伊藤が苦しみ出した。
「うっ・・・息が・・・」
「何が起こってるんだ?」
「伊藤の周りから・・・酸素を無くした・・・」
そんなことも出来るのか・・・
けど、そんなことしたら・・・
「あっ・・・かはっ・・・」
飯塚が膝から崩れ落ち、吐血した。
それでも能力は解かない。
「へへ・・・マジでそろそろやばいかも・・・もう颯太がどこにいるかもわかんないや・・・」
不敵な笑みを浮かべそう呟く。
飯塚の目は既に光が宿ってなかった。
「それでも・・・僕は・・・やめない・・・から・・・」
伊藤も負けじと耐える。
だが、体は嘘をつけない。
伊藤の体は痙攣し始めた。