第7章 記憶の在り処
晃side
颯太さんの家に来てみた。
伊藤との会話を聞いた感じだといない可能性もあるな。
どこかへ出かけているかもしれない。
インターホンを鳴らす。
「・・・やっぱ居ないか。」
だったらあと思い当たる場所は・・・
ポケットに入れておいた携帯が小刻みに揺れた。
発信元の名前は飯塚だ。
「・・・はい。」
「学校の近くのショッピングモール分かる?」
「・・・あぁ。」
「颯太と伊藤がそこに入って行くの見た。先に行ってるから。」
「分かった・・・俺も向かう。」
ショッピングモール?
映画でも見るのか?
車に乗り込みショッピングモールに向かう。
今みたいに急いでる時に限って赤信号に引っかかる。
「クソ・・・」
通常なら30分もかからないはずの道のりを30分以上かけて到着した。
途中混んでいたのも原因だ。
「海堂!」
「飯塚。2人は?」
「映画館の中にいると思う。恐らく2時間くらいは出てこない。」
2時間か。
待つしかない。
少しでも早く話したいのに。
早く思い出させてまたあの頃に戻りたいのに。
「うっ・・・」
隣で飯塚が鼻血を流す。
結構な量だ。
「お前、もしかして・・・ここまで・・・」
「・・・空から見た方がわかりやすいかと思って・・・飛んで来た。」
「何やってんだ・・・能力使いすぎたらどうなるか・・・」
「分かってる・・・けど、颯太の為なら・・・俺はいい。」
「何言ってんだよ・・・そんなんじゃ・・・っ!」
・・・もしかして・・・颯太さんが俺と別れた本当の理由って・・・
高校生の時の記憶が甦る。
確か・・・俺もこいつと同じような事言ってた・・・
その時颯太さん・・・どんな顔してた?
全く嬉しそうじゃなかった・・・気がする。
あの時の俺は自分の事で精一杯でよく周りが見えていなかった。
「・・・そういう事か・・・」