第7章 記憶の在り処
晃side
「って事は・・・颯太さんは能力で俺たちの事を忘れてるのか?」
「たぶんそう。能力には逆らえないよ。」
飯塚は諦めて屋上から出ていこうとした。
それだけかよ。
「お前の気持ちはその程度なのかよ・・・颯太さんへの気持ちはその程度だったのかよ。だったら俺達の関係はなんだったんだ?お前がさっさと手を引いてれば俺たちは幸せだったはずだ!」
「・・・そんな訳・・・ないに決まってる・・・俺だって大好きなんだよ。ずっとずっと・・・颯太を探してた。何年も何年も。諦めたくねぇよ!けど、どうしよもないだろ?!」
どうしようもない?
何もしようとしてないじゃねぇか。
そんな中途半端な気持ちだったのかよ。
俺は怒りが込み上げ炎を手に作っていた。
気がつくと思いっきり殴っていた。
「いっ・・・」
「・・・伊藤の言う通りだよ。お前に颯太さんは相応しくない。」
殴られて頬を押さえたまま倒れている飯塚を置いて屋上を後にした。
記憶がないなら無理にでも思い出させる。
それしか方法はない。