第2章 【Dtm】Baby
の住むアパートに着くと、警官にの服が入った紙袋と鞄を渡された。
「困ったことがあったら彼女のお母さんでも警察でもすぐに連絡するんだよ。万が一に備え雄英には事件のこと伝えさせて貰うね」
「ありがとうございます。お願いします」
「ありあとー」
少しは気を許したのか、は控えめに警官に手を振った。走り去るパトカーを見送っての鞄から鍵を出してドアを開ける。初めて入るの家は、ほんのり、砂糖のような甘い香りがした。締め切った部屋の中は暑い。
「のうちだー!とろろきくんあそぼー!」
「その前に服だ。風邪引くぞ」
「はあい!」
棚の上の籠にエアコンのリモコン。の母から送られてきたメールに書かれていた。俺はすぐにクーラーを入れる。この暑さじゃ熱中症になりかねない。
キッチンとダイニングのすぐ隣にあるリビングにはテレビと二人掛けのソファーと、人一人座れる大きなクッションが置いてある。隅で背の高い観葉植物が部屋を見守っていた。
「、服あったか」
「みてみてー!おーるまいとのふく!」
ドタバタと駆ける音がしたかと思えばは肩を剥き出し、長いTシャツの裾を引き摺りながら飛びついてくる。Tシャツにはオールマイトのアメリカンタッチのイラストがプリントされている。
そうだった。さすがにこのサイズの服は無いだろう。改めてどうしたものかと考える。
「とろろきくん、のおへやきてー」
「それはダメだろ」
「いーから」
は俺の手を引いて腕に綿を絡みつかせる。本人の許可なく部屋に入るのは良くないと思う。
いや、本人か。ならいいのか?