第2章 【Dtm】Baby
体が痛い。足が痺れてる。眠っちまってたのか。
目を開けるとカーテンの隙間から西日が差して、部屋が橙に染まっていた。
そうだ、は?
床に視線を落とすと、俺の膝に頭どころか体まで乗せて眠りこけるの姿があった。タオルケットも蹴飛ばされて意味をなしていない。
どんな寝相だそれ、と呆れる。通りで足が痺れるわけだ。
「おい、……。起きろ、夜寝られなくなるぞ」
「いやあー」
肩を揺すってみると眉間に皺寄せて目覚めることに抵抗する。さらに強く揺すると今度は手前に寝返り打って俺の腹に顔を埋めた。
「、」
「へへへ」
「……起きてるだろ」
「ねてるのー」
目を閉じて幸せそうに笑うは俺の心を温かくする。
ふと時計を見ると針はちょうど縦に一直線に伸びていた。もうこんな時間か。そろそろの母さんが戻る頃だ。
床で眠る本。その横に置かれた携帯を拾い、メールを確認する。「起きた?これから帰宅します。」とメッセージが来ていた。
が腹に口を宛てがい強く息を吹きかけてくるから手短に返信をして、彼女の頬を摘んだ。腹が熱い。おまけに服が濡れている……。
「にゃにふるのー」
「それはこっちの台詞だろ」
ほら起きろ、と促すと渋々上体を起こして膝の上に座る。退くのかと思って待ったがその気配は無く、腕を回してしがみついてくる。背中に感じる小さな手が震えていた。
「どうした」
「うう……」
「腹痛ぇのか」
頭を横に振ると小さく、こわいと呟いた。片手で背中をさするとは指先に痛いくらいの力を込める。もう片方の手で携帯を拾い、救急の番号を打とうとした時だった。
の体はみるみる大きくなってあっという間に元のの大きさに戻った。髪とTシャツを結っていたヘアゴムが床に落ちる。
背中に回された手はさっきよりも大きい。俺ははっとして、膝に乗る彼女の背から慌てて手を離した。