第2章 【Dtm】Baby
「おなかすーたねえ」
「飯にするか」
「うん!」
人様の家の冷蔵庫を物色する訳にもいかない為、近くのスーパーに買い出しに行くことにした。
の母に買い物に行く旨と何を食べさせたらいいか、メールを打つ。すぐに「ありがとう!何でもOK」と返事が来た。返信の速さからしてきっとを心配しているのだろう。
支度をして外に出ると相変わらず暑さと湿気と蝉の声が蔓延っていた。
「おにいりにしよー!とろろきくんはーおそばかなぁ?」
「俺も同じのにする」
「おなじの!やったあ!」
手を繋いで路地を歩くと前にと来たスーパーが見えた。そんなに昔のことでは無いのに思い出して懐かしく思う。
店に入り買い物をしていると近所のおばさんに声をかけられた。
「エンデヴァーさんとこの!」
「こんにちは」
「まあ、妹さんかい?あれ、女の子はお姉さんだけじゃなかったかしら?」
「いや、妹じゃなくて……」
「だよ!きょうはね、とろろきくんとお買い物してるの!」
「そうかい!ちゃんと手繋いでえらいねえ」
「うん!」
にっこり笑ったにおばさんも朗らかに微笑んだ。おばさんは俺との関係の事はどうでもよくなったのか、の手に飴を一つ握らせて笑顔で去っていった。
「いちごあじだー」
「よかったな」
「んふふ」
早速口に入れた飴は彼女の好きな味だったようで嬉しそうに頬に手を当てる。だが、すぐに飴が無残に砕かれる音が聞こえた。
飴は舐めるものだと教えた方がいいだろうか。いや、喉に詰まらせるかもしれないし、いっそ噛んでしまった方が安心か……と思い直した。
駅前で泣きべそかいてたはスーパーではそんなことは無くそこら中で愛嬌を振り撒いていた。