第8章 truth
「残る侵入方法は志波空鶴の花鶴大砲しかない。派手な侵入だ。しかもその侵入者は隊長格がとり逃がす程の実力者。否が応でも瀞霊廷中の死神の目はそちらへ集中する。
実際、廷内侵入後の君たちの活躍は素晴らしかったよ。お陰で、隊長が一人殺されても大した騒ぎにならずに済んだ。実に、動きやすかった」
「ま…待て…あんた…なんで俺達が…西流魂街から来るってわかってたんだ…?」
「…おかしな事を訊くね。決まっているだろう、西流魂街は浦原喜助の拠点だからだよ。彼の作る穿界門で侵入できるのは西流魂街だけだ。」
「…な…」
「…何だその顔は、君達は彼の部下だろう?君達は浦原喜助の命令で、朽木ルキアの奪還に来たんじゃないのか?」
「…ど…どういう……」
「…成程、どうやら何も聞かされてはいないようだね。
…まあ良い、最後だ。僕が教えておこう。
死神には基本的な四つの戦闘方法があるのを知っているかい?斬術、白打、歩法、鬼道の四つがそれだ。だが、そのどれにも限界強度というものが存在する。どの能力も極めれば死神としての魂魄の強度の壁につきあたり、そこで成長は止まる。
つまりはそこが死神の限界だ。
ならばそこを突破して、全ての能力を限界を超えて強化する方法は無いのか?あるんだ、ただ一つだけ」
『それが…死神の虚化』
「ああ、そうだった…君も研究していたんだったな。」
「…え…?」
「死神の虚化、虚の死神化、相反する二つの存在の境界を取り払うことでその存在は更なる高みへと上り詰める。理論的には予てから存在するとされてきた手段だった。
僕自身は特に虚の死神化に着目し、幾つかの死神に近い存在の虚を送り出すことに成功した。
自らの霊圧を消すことのできる虚、触れるだけで斬魄刀を消すことができ、死神と融合する能力を持つ虚」
ルキアの脳裏には海燕の姿が浮かぶ
「だが、どれも新たな存在と呼ぶには程遠い屑ばかり。僕以外の者も皆、無知と論理に妨げられて、結局その方法を見つけられる者は誰一人としていなかった。それを造りだしたのが浦原喜助だ。」
『喜助が造ったのは瞬時に虚と死神の境界線を取り払うことができる、尸魂界の常識を超えた物質だった。物質の名前は…崩玉。
喜助は危険な物質であると感じ、崩玉の破壊をしようとした…けど、破壊することはできなかった。
だから喜助はある方法をとった』
