第6章 start
「それは前に、謝ってたじゃねえか…。
そんな事、気にしてねえよ」
『本当?なら、良かった。
あ、あと、ごめんね?挑発しちゃって』
「挑発?!あれキレてたんじゃ無かったのか?!」
『あれくらいでキレないわよ。失礼ね』
「良かった。でも、悪かった」
『いいのよ。あ、怪我は治しといたけど、これから七日間、無理はしないでね。修行も禁止。夏休み楽しんでおいで』
「蝶は?」
『私は準備があるからね。私が死神だってことはみんなには秘密だからね。
織姫やチャドくん、石田くんにも。
尸魂界に行った時も…私の名前は出さないこと。約束できる?』
「おう。」
『じゃ、少ないけど…夏休み楽しんできなよ。七日後の午前一時だったかな?部屋の窓を開けて待っておいてね』
「おう。」
俺に夏休みを楽しんでこいと言った蝶
あいつが死神だって事を知った時は驚いた
前に石田があいつの霊絡は俺より紅いって言ってたけど…まさか本当に死神だなんて思ってもなかった
「…はぁ」
ため息が出る
高校に入学して、隣の席のやつが死神だなんて普通思わねーよ。
俺が死神になるまで死神の存在なんて知らなかったし
でも俺は、あいつが死神だって知る前から…あいつのことが…蝶のことが好きだった
クラスでも人気者で、割と狙ってる男は多い
本人は気付いてないけどな
けど、あいつと戦った時に、怒らせたかと思った。嫌われたかと思った
だけどあいつは全然怒るどころか、むしろ笑って許してくれた
そんな蝶に俺は負けた…けど…
「あいつを守れるくらい…強くなんねーとな」
きっとそれはまだ先の話、でも俺が努力すればすぐだ
約束もあるし夏休みは楽しむけど、もっと強くなってから……
「なーにニヤニヤしてんだ?」
ライオンのぬいぐるみに入ったコンが気持ち悪そうに言ってくる
「うるせー!何でもねーよ」
「へぇ〜」
『じゃ、喜助。私は先に行くね』
「お気を付けて」
「気をつけるんじゃぞ」
喜助と夜一が見送りに来てくれていた
私は先に正規ルートで尸魂界へ帰る
それは、準備の為だ
『大丈夫。夜一、向こうで待ってるよ。
喜助、あの子たちをちゃんと送り出してあげてね』