第4章 beginning
「やっぱし…お前やったんか…」
「気付かれていましたか。流石ですね」
「当たり前やろ…」
「いつから?」
「オマエが母ちゃんの子宮ン中おる時からや…ッ」
「成程」
「俺はずっとオマエを…危険やと…信用でけへん男やと思っとった…
せやから俺はオマエを五番隊の副隊長に選んだ…オマエを…監視する為や藍染…!」
「…ええ、感謝しますよ。平子隊長
あなたが僕を深く疑ってくれたお陰であなたは気付かなかった」
「…気付いとった言うてるやろ…」
「いいえ、気付かなかったでしょう?
この一月、あなたの後ろを歩いていたのが僕ではなかったということに。」
「…な…!?」
「敵にこの世界のあらゆる事象を僕の意のままに誤認させる、それが僕の斬魄刀鏡花水月の真の能力です。
その力を指して…完全催眠と言う
これに気づいたのは…そこにいる水無月さんくらいでしたけどね。」
少しだけこちらを見る藍染
あの時の記憶は消したけど、見抜いてることはバレてたと。
「…完全……催眠やと…!?」
「あなたは鋭い人だ。平子隊長、あなたが普段他の隊長が、副官に対するそれと同じように接していたなら、或いは見抜くことができたかも知れない。
だが、あなたはそうしなかった。あなたは僕を信用していなかったが故に
常に僕と一定以上の距離を保ち、心を開かず、情報を与えず…決して立ち入ろうとしなかった。」
藍染が刀を鞘に収める
「だからあなたは気付かなかったんです。僕が、全くの別人に掏り替わっても…
僕の身代わりをさせた男には僕の普段の行動と、あなたや他の隊士・隊長に対する受け答えのパターンを全て完璧に記憶させました。
もし、あなたが僕のことを深く理解していたなら、僅かな癖や動きの違いに異和感を覚えたでしょう。
あなたが今そこに倒れているのは、あなたが僕のことを何も知らないでいてくれたお陰なんですよ。平子隊長」
「…藍染…」
「それにしても…やはり期待通りにここまで足を運んでくれたね水無月さん?」
『…期待通りだったかしら?それなら嬉しいわ。』
「嬉しい?嘘は言わない方がいい…」
『…私を誘き出したつもり?』
「いいや、あなたがここに来るのはわかりきっていた…誘き出すまでもなくね…」